人を笑顔に
できれば、
それは必ず
返ってきます。
理事長/須藤正義
平成17年より特別養護老人ホーム「ふじの木園」の運営を始めたのですが、そのきっかけとなったのは、障がい者の福祉作業所として「自然パン工房 ふじの木村」を立ち上げたことです。
ダウン症の次男が、小・中・高とおひさま学級、特別支援学校でご指導頂き、卒業後は市内の作業所でお世話になっていましたので、次男の祖母にあたる私の母を筆頭に家族全員が「自分達なりに何か出来ることはないのか?」という気持ちでいっぱいだったんです。
もちろん、最初は大変なことだらけでした。みんなでパン作りを学ぶことからスタートし、地道にそして一生懸命に取り組んでいきました。工房に集う天使達のために。そうすると、気付いたら多くの方々からご支援を頂けるようになっていたんです。
そこでご縁ができた多方面の方々からいただいたものが、高齢者の福祉施設運営のお話でした。パン工房での活動を見守ってくださっていた方々からも、「ぜひやってほしい」と。そんなたくさんの後押しを受けて生まれた、ふじの木園ですので、期待に応えるためにも、利用者様の笑顔を広げ、繋いでいければとの思いをずっと抱き続けています。
ふじの木園では、利用者様のためにはもちろんですが、
職員の皆さんが明るく、やりがいを持って仕事をしていただける環境づくりを常に心がけています。
「環境が人をつくる」という言葉があるように、笑顔や優しい雰囲気というものは、ゆとりのある空間に身を置くことで、生まれてくると思っているからです。
高い天井と広い廊下、そして主張し過ぎないインテリアと穏やかな空間の中で、精神的にも余裕を持って仕事をする。その結果として生まれる心からの笑顔が、利用者様はもちろんのこと、一緒に勤務する仲間にも広がっていくのだと思います。
それに、目と肌で四季折々の変化を感じられるロケーションも、ふじの木園の大きな魅力の一つです。裏山の木々の移ろいや、晴れた日に届く小鳥のさえずりなど、自然に囲まれた中で過ごす毎日にはゆったりとした時間が流れています。
利用者様と職員の皆さんが共にリラックスできる空間、癒やされる時間、その中で生まれるたくさんの笑顔は、ふじの木園にとって何よりの誇りです。
ふじの木園では、ケアを受ける側と、行う側、双方に身体的にも精神的にも大きな負荷がかかっていた従来型のケアを見直し、先進的なケアや最新テクノロジーの導入を推進しています。
具体的には、①ユマニチュードケア、②ノーリフティングケア、③コンチネンスケアという3つのケア方針に従って最適な介護サービスの提供を行い、これに、IoT・ICTなどのテクノロジーを組み合わせることでケアを受ける利用者様、ケアを行う職員、どちらにも優しい環境を整えて日常生活の継続をサポートいたしております。
また、ノーリフティングケアについては、当園が、その普及と進展に携わるリーダー的施設として、福岡県より普及促進事業の先行取組み施設に認定され、県内外の施設から講習依頼のオファーもいただいております。
認知症ケアにおけるコミュニケーション技法のひとつであり、「見る」「話す」「触れる」「立つ」4つの「技術」を柱とし、「あなたは大切な存在」であることを伝え、ケアを受ける側・行う側双方の「絆」を結ぶケアのこと。
持ち上げない・抱え上げない・引きずらないことを前提に、体の間違った使い方を無くし、対象者の状態に合わせた福祉用具を活用することで、ケアを受ける側・行う側双方の安全と安心を生みだすケアのこと。
日々の排泄データに基づいて、ご本人の排泄機能や障がいの程度に合わせた根拠ある科学的なケアを選択・組み合わせながら、ご高齢であっても、「快適な排泄環境」をサポートするケアのこと。
私たちふじの木園が長年目標として掲げているのは、利用者の皆さんにとって、当園を「我が家」のように愛していただける場所となることです。
そして、ご家族と一緒に長い人生の最後を迎えられる「看取りの場」をふじの木園でご用意できればと思っています。最後の時をいつ迎えるのか、それは誰にも分かりません。早々に結論を求めるのではなく、利用者様の日々の営みをお手伝いさせていただく中で、利用者様とご家族との信頼関係を深め、少しずつ、その環境づくりを自然と進めていくことができればと考えています。大切なご親族を看取られたご家族からは、「ふじの木園で本当に良かった」と心からの言葉をいただいております。
利用者様やご家族に、「ふじの木園で人生の最後を全うしたい」「させてあげたい」そのように思っていただけることほど、我々にとって嬉しく、また誇りに思えることはありません。ふじの木園を「我が家」のように愛していただけるように。これからも「利用者様のために」という想いのもと、たくさんの笑顔を広げていきたいですね。